まだ間に合う!『結婚相手は抽選で』を観ようよ。

20代半ばの俳優のなかで一番モテるのは野村周平だと思っています。
どれだけダサい役をやっても漏れ出してくるモテ感はすごい。

ほら。

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ほらほら。

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という話は置いておいて。
彼が主演している『結婚相手は抽選で』というドラマが、想定をはるかに上回っておもしろいのです。

✂✂✂✂ ここからはネタばれを含みます ✂✂✂✂

タイトルにもある通り、日本政府が「抽選見合い結婚法」を制定して、「抽選見合い」が25〜39歳の子どものいない独身者全員に義務として課されるという荒唐無稽な話なんだけど、ちょっとバカにできないおもしろさなのです。

・25歳~39歳の子どものいない独身男女が対象
・本人の年齢プラスマイナス5歳の範囲で相手を抽選
・相手が気に入らない場合は2回まで断ることができる
・どうしても3回断った際は「テロ対策活動後方支援隊」に
 2年間従事しなければならない

潔癖症でアニメオタクでモテない自分に自信が持てないたっちゃん(野村周平)は、法案に対してどう思うかと問われて答えます。 

「いい法案とは言えないかもだけど。もし通ったらうれしい。みんながふつうに持っている恋愛できる才能がボクには備わっていない。それがないってだけで何をするにしても自信が持てなくて、どこに行ってもボクだけ場違いな気がして…。つまりボクはこの世に存在することが無意味なバグだらけの欠陥品のような気がして」

そう言う彼にも、少ないけれどちゃんと話ができる友だちがいます。彼らが「たっちゃんは俺よりマシだ、見た目も悪くない」と励まします。でもたっちゃんは続けます。

「だったらますますわからないよ。外見が問題ないのなら、ボクの人間性そのものに問題があるのかなって。でも、もしこんなボクでも選んでくれる人がいたら…(長年の劣等感から解放される)」

第1話では、たっちゃんをはじめとする主要キャストの法案に対する思いや置かれている状況を紹介していきます。

・冬村奈々(高梨臨):実家暮らしのお嬢様、二流の音大卒・ラジオ局勤務の美人。
・銀林嵐望(大谷亮平):広告代理店勤務のイケメン。奈々と付き合っているも、結婚を迫る奈々を「付き合うにはたのしいが結婚する相手ではない」と振る。
・鈴掛好美(笹津川愛美):兵庫県出身の看護師。依存の強い母親から逃げるために上京して「結婚法」にのぞむ。

法案が具体的になるにつれ整理され、「見合い相手に対する希望条件をひとつだけ書くことができる」ようになります。とはいえ、事前に考慮して相手を選ぶことはできず、あくまで無作為に選ばれた相手とお見合いをするのは変わりません。ただ、お見合いをしたあとに希望条件に合わなければ無効にすることができるという具合です。断った回数には入りません。

3回以上断ると「テロ対策活動後方支援」に従事しなければならないので、相手に断ってもらうか無効にするかで自分が望む相手と出会う必要があるというわけです。きれいな人やかっこいい人は相手が断る可能性が低いので、客観的に判断できて当てはまる人が少ない条件を書いておかないと断り続けてあっという間に上限の3回に達してしまうでしょう。
このあたりのルールの整理や具体例、落とし穴・抜け穴なんかも上手に話の中で説明してくれているのもすごい。

たっちゃんは「優しい人」と書いて、誰かにとって優しい人が他の人にとって悪人かも知れないし判断できないと友だちに却下されます(そりゃそうだ)。
看護師の愛美は、酒を飲んで暴れていた父を思い出して「飲酒をしない人」と、イケメン銀林は意外にも「母性の強い人」とそれぞれ書きます。
この時点では、たっちゃんと美人奈々の希望条件はまだ明かされません。

たっちゃん、1回目のお見合いではカップリングされてすぐ相手に「お腹が痛い」と言って逃げられ、喋ってもいないのに性格の不一致を理由に断られてしまいます。
2回目は、有名企業に務める年上の女性とお見合いをすることになります。しょっぱなから「なんで無作為抽選でこんなデブでブスなおばさんとお見合いさせられるのかと思ってるわよね?」と詰められます。「恋愛の対象にならないかな」と今回は断ろうかなと思っていたら、あえなくお相手から断られ「ちょっと話しただけで断りたくなるくらいボクってそんなキモい奴かな…」と落ち込みます。
そんな彼に友だちが「ボクたちには想像つかない理由かもしれないから聞いてみたら?」と促します。

彼女に理由を聞きに行くと「子どものころからデブでブスって言われてたから、女の子が抱く『かわいいお嫁さんになる』っていう夢を持つことは不相応なのだと思い一生懸命勉強していい国立大学を出て一流企業に就職して最年少で出世もした。そうやってがんばってきたのに、今さら国が『結婚しろ』と言ってきた。私がどういう気持ちでふつうの女の子の夢を封印したと思ってるの」と泣きながらその理由を教えてくれます。しかも「早々に3回断って、テロ対策の後方支援に行っても職場の地位は保証されると聞いてるし上司もそう言ってるし、たった2年で『結婚』という制度から解放されるなら楽勝」と言い、たっちゃんの潔癖症を気遣い「お互いがんばろう!」と去っていく彼女の背中を見送ります。

彼女と別れたあと、たっちゃんは自分のブログに「人を傷つける法律なんてあっていいのだろうか」と綴ります(このあと彼は『抽選見合い結婚法の被害者たち』というブログをはじめるそうです)。

たっちゃんが書いた「見合い相手に対する唯一の希望条件」は何なのか。
いろんな思惑で「抽選見合い結婚法」に挑む人たちは、素敵な相手と出会い、しあわせを掴むことができるのか。果たしてしあわせとは、結婚とは。

今のところ、私は今クールのドラマのなかでもかなりおもしろく観ています。
誰からも選ばれないかも知れない、愛されないかも知れないという誰もが抱いている恐れがチラチラして観ているとつらくなりそうですが、荒唐無稽なフィクションの部分もあってバランスが保たれています。
彼らよりマシだと思って観るものではなく、彼らは自分かも知れないと思わせる細部まで気合いの入った作りになっているのではないかと思います。
まだ間に合います。観ましょう!

tokai-tv.com

あと、ここぞというところで流れる高橋優「aquarium」がすごいつらい気持ちにさせるのでぜひドラマのなかで味わって欲しい。第1話でたっちゃんが合コンから逃げて公園で必死に手を洗うシーンはこの曲の効果もあってちょっと泣きそうになった。


高橋優「aquarium」(東海テレビ・フジテレビ系オトナの土ドラ「結婚相手は抽選で」ver.)